建物明渡請求にかかる実費の具体的金額について

1.事例

以下の事例を前提に、弁護士に建物明渡請求事件を依頼した場合にかかる実費についての説明をします。

事例

①アパート(1棟全体の床面積120㎡。建物の固定資産税評価額1200万円)の101号室(床面積30㎡の1LDK)を賃料8万円で賃貸した。

加えて、②アパートの敷地内の駐車場(敷地全体の面積200㎡。土地の固定資産税評価額2000万円)の1区画(10㎡)を賃料5000円で賃貸した。

すでに直近2か月分の賃料滞納が発生している。

2.具体的な実費の金額について

(1)交渉段階でかかる実費

滞納賃料の督促及び賃貸借契約の解除通知の発送費用(内容証明郵便の料金)として2,000円程度かかります。

(2)裁判までにかかる実費

まず、土地・建物明渡請求訴訟の訴状に貼る印紙代がかかります。
印紙代は不動産の固定資産税評価額に応じて決まります。
今回は、

  1. 固定資産税評価額1200万円のアパート1棟(床面積1200㎡)の1室(床面積30㎡)
  2. 固定資産税評価額2000万円の駐車場敷地(2,000万円)の1区画(10㎡)

明渡しを求める場合の印紙代になります。
※計算式は、以下のとおりです。

まず、今回の事件の「訴額」というものを算出します。

  1. アパート1棟の固定資産税評価額1200万円×(101号室30㎡/アパート1棟120㎡)=101号室の固定資産税評価額300万円
  2. 駐車場敷地の固定資産税評価額2000万円×(1区画10㎡/駐車場敷地200㎡)=駐車場1区画の固定資産税評価額100万円

そして、以下のとおり、訴額を算出します。
(①建物300万円×1/2)(②土地100万円×1/2×1/2)=訴額175万円

訴状に貼る印紙額は、訴額により決定されます。
訴額175万円の事件の印紙額は14,000円になります(裁判所HPに早見表も掲載されています。)。

次に、裁判所に納める郵便切手代として6000円(被告が1名の場合)がかかります。

訴状に添付する書類として、物件の登記簿謄本と固定資産税評価証明書が必要になります。
これらを当事務所で取得する場合には1通当たり2,000円をいただいております。

駐車場に駐車されている自動車の所有者等の情報が不明な場合には、弁護士が弁護士会を通じて管轄する陸運局に照会をすることになります。
この照会の費用として5000円ほどの実費がかかります。

(3)強制執行までにかかる実費

まず、強制執行申立後に裁判所に納める予納金が必要になります
(さいたま地方裁判所の場合、対象物件が1件で8万円~10万円ほどになります。本件のように土地・建物だと2物件扱いになります。)。

そして、執行補助業者に支払う費用も必要になります。
明渡しの際に建物内に残置された荷物をすべて搬出した上で一時的にこれらを保管します。
そして、一定期間内に賃借人が引き取りに来なければ、これらを処分しなければなりません。

執行補助業者に支払う費用には、これらの荷物の搬出・運搬・保管・処分といった費用が含まれておりますので、物件の広さや荷物の量によって変わってきます(単身用の1LDKで50万円前後見ていただくことになると思います。)。

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