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1.相続事件の経験が豊富であること
「相続事件」と言っても、様々なケースがあり、その対応も多岐にわたります。
例えば、被相続人が死亡した後に、相続人の1人が被相続人の自筆証書遺言を他の相続人らに提示したとします(ケース①)。
この場合、その遺言の作成経緯を知らない他の相続人らとしては、遺言の有効性自体を争うという方針が考えられます。この場合、遺言の有効性を争う手続は家庭裁判所における遺産分割調停・審判ではなく、地方裁判所における民事訴訟となります。
そして、その民事訴訟において遺言が無効であることを確認する旨の判決が確定した場合には、改めて相続人全員による遺産分割協議をすることになります。
また、自筆証書遺言の場合、記載内容があいまいなことも多いため(例えば、「西側の駐車場は●●に相続させる」といった地番が特定されていない等)、遺言の解釈を争うという方針も考えられます。この場合、遺言の解釈を争う手続についても、家庭裁判所における遺産分割調停・審判ではなく、地方裁判所における民事訴訟となります。
また、遺言が有効であることを前提に相続手続を進めるという対応が考えられます。この場合、遺言どおり相続手続を進めた結果、自身の遺留分が侵害される結果となる場合には、遺留分侵害額請求をすることになります。
遺留分侵害額請求を申し立てる手続も家庭裁判所における遺産分割調停・審判ではなく、地方裁判所における民事訴訟となります。
他にも、例えば、被相続人の生前に多額の預貯金が相続人の1人に送金されていたとします(ケース②)。
この場合、被相続人に無断で送金がなされていたという前提で、不法行為に基づく損害賠償請求や不当利得返還請求をする方針が考えられます。
この場合の手続としては、家庭裁判所における遺産分割調停・審判ではなく、地方裁判所における民事訴訟となります。
他方、送金が被相続人による生前贈与であるという前提で手続を進める方針の場合には、家庭裁判所における遺産分割調停・審判手続において、相続人の特別受益の問題として主張することになります。
このように、相続事件の対応は方針いかんによって、家庭裁判所における遺産分割調停・審判にとどまらず通常の民事訴訟手続の問題になっていくことも多いといえます。
そして、民事訴訟手続の結果については、経験がなければ見通しをすることも難しいのではないかと思います。
アルプス法律事務所では、様々な相続事件において、依頼者の皆様と相談しながら、その都度最良の方針を探りつつ対応をしてきました。
また、様々な相続事件を経験するからこそ、被相続人が遺言を作る際にも相続発生後に発生する可能性がある具体的なトラブルを想定し、これを予防する条項のご提案ができるものと考えます。
2.遺産の一つである不動産関連事件の経験が豊富であること
アルプス法律事務所では不動産関連事件も多く扱っております。
相続事件では、どうしても高額な不動産に関する争いや問題が発生することが多く、不動産に関連する知識、経験が必要になるケースも多いといえます。
例えば、被相続人が所有する不動産の売買契約を締結した直後に死亡してしまったものの(所有権移転登記や決済手続が未了)、相続人全員の足並みがそろわないケースではどのような対応をすべきでしょうか。
対応を誤ると高額な違約金が発生することも考えられるため、不動産に関する知識を有する弁護士への相談し、アドバイスを受けることが必要になるものと考えます。
また、過去に実際にあったケースで、被相続人が不動産を購入して代金を支払っているものの、売主とトラブルがあり長年登記名義人が売主のままの状態になっているというケースがありました。
このケースも相続人全員の足並みがそろわない事案でしたが、遺産分割協議をする前提として、民事訴訟により当該不動産の登記を被相続人名義に移転することができました。
相続事件では不動産に関連する争点も多いですが、これをスムーズに処理するためには、不動産に関する知識、経験も必要です。
アルプス法律事務所では、日常的に不動産会社からの建築、売買、賃貸に関する法律相談を受けており、不動産関連事件も比較的多く扱っておりますので、これらの経験が相続事件にも生かされるものと考えております。
3.担当する弁護士の顔が見えること
相続を専門的に扱う法律事務所でも、実際に法律相談を受けるまでは相談に対応する弁護士やその後に代理人として担当する弁護士が誰になるのかわからないというケースがあると思います。
弁護士はそれぞれの個性があり、知識・経験の有無、事件処理に関する姿勢なども異なりますので、どうしても合う、合わないといったことが起こり得るものです。
アルプス法律事務所では、代表弁護士がご相談を受け、その後の事件処理も担当します。そのため、当ホームページをご覧いただいた上で事務所までお越しいただくのであれば、事前に弁護士の経歴や考え方等をご理解いただいているかと思いますので、スムーズに相談に入ることが可能かと思います。
担当する弁護士の顔が事前に見えることで、少しでも安心してご相談いただくことができるのではないかと考えております。
4.他士業等との比較
(1)信託銀行との違い
信託銀行では、遺言の作成及び遺言の執行を遺言信託業務という形で行っているところもあります。
もっとも、信託銀行は弁護士と異なり法律の専門家ではありませんので、定型的な遺言の作成はできても、その遺言者を取り巻く事情から将来予想されるトラブルを回避するような条項を具体的に提案することは難しいと思われます。
また、その遺言により遺留分侵害額請求に関する紛争等が発生した場合、信託銀行では対応することが困難です。
そのため、将来発生する相続に関して、個々の事情を踏まえたきめ細やかな準備をするのであれば、弁護士にご相談いただくほうが安心なのではないかと思います。
(2)司法書士との違い
司法書士は登記業務に関する専門家になりますので、遺産である不動産の相続登記をするためにはサポートが必要となります。
また、その登記業務に関するものであれば、遺産分割協議書の作成も対応してもらえます。
もっとも、それ以上の業務、例えば特定の相続人の代理人として遺産分割協議に加わったり、家庭裁判所に遺産分割調停の申立てをしたりすることはできません。
そのため、相続登記以外の業務を依頼する場合には、弁護士にご相談いただくことが必要になると思います。
(3)税理士との違い
税理士は税務の専門家になりますので、相続税の申告や被相続人が死亡した年の収入に関する準確定申告をするためにはサポートを受ける必要があります。
もっとも、それ以外の業務、例えば特定の相続人の代理人として遺産分割協議に加わったり、家庭裁判所に遺産分割調停の申立てをしたりすることはできません。
そのため、相続に関する税務申告以外の相談については、弁護士にご相談いただくことが必要になると思います。
(4)行政書士との違い
行政書士は行政機関に提出する文書の作成・申告などを主たる業務としていますが、遺産分割の場面において特定の相続人の代理人として遺産分割協議に加わったり、家庭裁判所に遺産分割調停の申立てをしたりすることはできません。
そのため、遺産分割に関する業務を依頼する場合には、弁護士にご相談いただくことが必要になると思います。